インドは北から南に向かうほど、繊維が長いコットンが栽培されています。
インド北西部のパンジャーブ州では布団の中綿やコットンパフに使用される短繊維のデシ綿(インドの綿という意味)、その南西にあるグジャラート州では中長繊維のシャンカール6、更に南のマハラシュトラ州では長繊維のバニーやMCU-5が栽培されています。
私たちのサプライヤーであるラキシマンさんのコットンは更にもっと南、インドの最南端に位置するタミールナドゥ州で栽培されています。
タミールナドゥ州は東西両方のモンスーンの恵みを受け、インド綿の中の最上級品種で超長繊維「スビン」の栽培を可能にしています。
「スビン」は1979年にインドのSujathaとシーアイランド種のSt.Vincentを交配して誕生したコットンです。
両方の頭文字を取って「Suvin」と命名されました。
交配はタミールナドゥ農業大学で行われ、毎年新しい種子がラキシマンさんの手に渡ります。
スビンは栽培期間が220日以上と他の綿花より1ヶ月から1ヶ月半長く、面積あたりの収量が少ない手間のかかるコットンです。(一度栽培を止めてしまったスビン農家さんはニ度とスビンを栽培されないそうです。)
1980年代のピーク時には年間5000トン以上のスビンが栽培されていましたが、虫害による収量の減少、生産コストが合わないなどの理由で、栽培する農家が激減しました。近年は400トン程度しか栽培されていません。
収穫されたコットンは、ラキシマンさんがオーナーを務めるスリサンタラクシミ社に持ち込まれ、人の手によって2度コンタミネーションを取り除いた後、100年以上前に作られた英国製のローラージンで、
ゆっくりと繊維を切らないようにジニング(種から綿を取る作業)されます。スビンは重量の70%を種が占め、リントコットン(ジニングが終わった後のコットン)はわずか30%しか残りません。
ラキシマンさんはこのスビンをさらに難しいオーガニックでも栽培し、私たちに提供してくださっています。スビンオーガニックは私たちが扱う世界中のオーガニックコットンの中で最も長く、最も細くしなやかです。
コットンを提供してくださる生産者に感謝し、品質を汚さないようにゆっくりと丁寧に糸にして、その価値を伝えることが紡績の役目だと、私たちは考えています。